2. 環境準備(Mac版)
GitHubアカウントの作成とGitの初期設定を行います。ここで設定する内容にはセキュリティと個人情報に関わる大事なポイントがいくつかあるので、丁寧に進めます。
Windowsをお使いの方は Windows版の「2. 環境準備」 に進んでください。3章以降のgitコマンドはWindows/Macで共通です。本文中の「PowerShell」は、Macでは「ターミナル」と読み替えてください。
🎯 この章でできるようになること
- GitHubアカウントを安全に(2FA付きで)作成する
- Gitの初期設定(名前・メールアドレスなど)を済ませる
- GitHubへの認証の仕組み(ブラウザ認証・トークン)を理解する
2-1. Gitがインストールされているか確認
ターミナルを開いて(⌘+Space でSpotlightを開き「ターミナル」と入力 → Enter。または アプリケーション → ユーティリティ → ターミナル)、次のコマンドを実行します。
git --version
git version 2.50.1 (Apple Git-155)
バージョン番号が表示されればインストール済みです。
入っていない場合(初めてgitを打ったとき)
Macにはgitが標準では入っていませんが、git --version を実行すると自動的に「コマンドライン・デベロッパ・ツールをインストールしますか?」というダイアログが表示されます。インストール をクリックして数分待てば、Apple製のGitが入ります。インストール後はターミナルを開き直してから再度確認してください。
Mac用のパッケージ管理ツール Homebrew を入れておくと、Gitに限らず開発ツールをコマンド一つで導入・更新できます。この後で入れるGitHub CLIもHomebrewで入れるので、ここで導入しておくのがおすすめです。
▼ Homebrewのインストール(brew.sh に載っている公式コマンド。Macのパスワードを聞かれます)/bin/bash -c "$(curl -fsSL https://raw.githubusercontent.com/Homebrew/install/HEAD/install.sh)"
インストールの最後に「Next steps」として echo ... >> ~/.zprofile のようなコマンドが表示されたら、それをコピーして実行してください(brewコマンドを使えるようにするための設定です)。その後ターミナルを開き直します。
brew install git
git --version
git version 2.54.0
2-2. GitHubアカウントを作成する
- ブラウザで github.com/signup を開く
- メールアドレス、パスワード、ユーザー名を入力する
- 届いた確認コードを入力して完了
- ユーザー名は全世界に公開され、URL(github.com/ユーザー名)になります。
- 後から変更はできますが、変更すると古いURLへのリンクが壊れるため、長く使える名前にしましょう。
- 仕事用と割り切るなら本名ベース、そうでなければハンドルネームでも構いません。恥ずかしくない名前に!
二要素認証(2FA)を必ず有効にする
パスワードだけの保護では、漏洩したときにアカウントを乗っ取られます。GitHubアカウントの乗っ取りは「あなたのコードに悪意あるコードを混入される」被害に直結するため、2FA(二要素認証)は必須です。現在GitHubは多くのユーザーに2FAを義務化しています。
- GitHub右上の自分のアイコン → Settings → Password and authentication
- Two-factor authentication の Enable をクリック
- 認証アプリ(Google Authenticator、Microsoft Authenticator、1Passwordなど。iPhoneの「パスワード」アプリでも可)でQRコードを読み取り、表示された6桁コードを入力
- リカバリーコードを必ず保存する(印刷またはパスワードマネージャーへ)。スマホを紛失したとき、これがないとアカウントに入れなくなります。
Touch IDや、iCloudキーチェーンでログインできる「パスキー」にも対応しています。Settings → Password and authentication → Passkeys から追加でき、フィッシング(偽サイト)に強いのでおすすめです。iCloudキーチェーンに保存すればiPhoneやiPadでも同じパスキーが使えます。
2-3. Gitの初期設定(必須)
Gitは、コミットに「誰が変更したか」を記録します。その名前とメールアドレスを最初に設定します。この設定は一度やれば、そのMacではずっと有効です。
▼ 名前の設定(GitHubのユーザー名と同じにするのがおすすめ)git config --global user.name "あなたのユーザー名"
▼ メールアドレスの設定
git config --global user.email "あなたのメールアドレス"
ここで設定したメールアドレスはコミット履歴に記録され、リポジトリを公開すると誰でも見られます。スパムや詐欺の標的になり得ます。個人のメールアドレスを晒したくない場合は、GitHubが用意するnoreply(ノーリプライ)アドレスを使いましょう。
- GitHubの Settings → Emails を開く
- Keep my email addresses private にチェック
- ページに表示される
12345678+ユーザー名@users.noreply.github.comという形式のアドレスをコピー - それを
git config --global user.emailに設定する
あわせて Block command line pushes that expose my email にもチェックを入れると、個人アドレス入りのpushをGitHub側で拒否してくれます。
その他のおすすめ初期設定
▼ 新規リポジトリの基本ブランチ名を main にする(GitHubの標準に合わせる)git config --global init.defaultBranch main
▼ 日本語ファイル名が文字化け表示されるのを防ぐ
git config --global core.quotepath false
▼ Macの日本語ファイル名(濁点・半濁点)の扱いを正しくする
git config --global core.precomposeunicode true
▼ 設定内容の確認
git config --global --list
user.name=あなたのユーザー名
user.email=12345678+あなたのユーザー名@users.noreply.github.com
init.defaultbranch=main
core.quotepath=false
core.precomposeunicode=true
MacのFinderはフォルダを開くたびに .DS_Store という隠しファイルを自動で作ります。これは表示設定を覚えるためのファイルで、リポジトリに含める価値がなく、Windowsユーザーには迷惑なだけです。5章で学ぶ .gitignore で除外するのが基本ですが、次の設定をしておくとすべてのリポジトリで自動的に無視されて安心です。
echo .DS_Store >> ~/.gitignore_global
git config --global core.excludesfile ~/.gitignore_global
なお、Windows版で説明している LF will be replaced by CRLF の警告はMacでは出ません(Macの改行コードはGitの標準と同じLFのため)。
2-4. GitHubへの認証の仕組みを理解する
自分のMacからGitHubにコードを送る(push)には、「このMacの操作は本人によるものだ」と証明する認証が必要です。重要なので仕組みを理解しておきましょう。
| 方式 | 仕組み | おすすめ度 |
|---|---|---|
| ブラウザ認証 (GitHub CLI / Git Credential Manager) | 初回にブラウザが開き、GitHubにログインして許可するだけ。認証情報はMacのキーチェーンに安全に保存される | ◎ 初心者はこれ一択。次の2-5でGitHub CLIを入れれば設定完了 |
| Personal Access Token (PAT) | 「パスワードの代わりになる文字列」を自分で発行して使う。権限と有効期限を細かく絞れる | ○ 自動化・スクリプト用。8章で詳述 |
| SSHキー | 公開鍵暗号を使った認証。鍵ペアを作りGitHubに公開鍵を登録する | ○ 慣れてきたら。上級者に人気 |
この学習サイトではブラウザ認証を使います。Windows版と違い、MacのGitには「初回pushでブラウザが開く」仕組みが標準では入っていません。そのため次の2-5でGitHub CLIを入れて gh auth login を実行してください(Macでは推奨ではなくほぼ必須です)。これだけで、5章以降のpushが認証エラーなしで通るようになります。
- GitHubのアカウントパスワードをgitコマンドに入力する場面は存在しません(2021年に廃止済み)。「パスワードを入れて」と要求する画面・ツールがあったら疑ってください。
- トークン(PAT)はパスワードと同じ扱いです。人に見せない、ファイルに書いてコミットしない、期限を設定する。詳しくは8章で。
2-5. GitHub CLI(gh)を入れる(Macでは実質必須)
GitHub CLIは、リポジトリ作成やPull Request操作をコマンドで行えるGitHub公式ツールです。Macでは前述のとおり、これを入れて連携することでgitの認証も一緒に設定されるので、必ず入れておきましょう。
▼ Homebrew でインストール(2-1でHomebrewを入れていない場合は先にそちらを)brew install gh
▼ GitHubアカウントと連携(ブラウザが開きます)
gh auth login
# 質問には次のように答える:
# ? Where do you use GitHub? → GitHub.com
# ? What is your preferred protocol? → HTTPS
# ? Authenticate Git with your GitHub credentials? → Yes ← ここが重要(gitの認証も設定される)
# ? How would you like to authenticate? → Login with a web browser
表示される8桁のコードを控えてEnterを押すとブラウザが開くので、コードを入力して許可します。途中でMacの「キーチェーン」へのアクセス許可を求められたら 常に許可 を選んでください。
▼ 連携できたか確認gh auth status
github.com
✓ Logged in to github.com account あなたのユーザー名
- Git operations protocol: https
cli.github.com からMac用インストーラ(.pkg)をダウンロードして実行しても同じです。ただし、この学習サイトでは以降もHomebrewを使う前提で説明します。
次の4つがすべて完了していることを確認しましょう。
git --versionでバージョンが表示される- GitHubにログインでき、2FAが有効になっている(Settings → Password and authentication で「Two-factor authentication」が Enabled)
git config --global --listで user.name と user.email が表示されるgh auth statusでログイン済みと表示される(Macではこれが5章のpushに必要です)